今日は。椿です。
俺はいま、今部屋で着替えをしている俺の大切な人、……えっと、つまり、その……。こ、恋人を待っている所です。
恋人って、どんな人か？
えっと、……俺、話をするのは苦手だから、でも、……が、頑張ります。


俺のこ、恋人は、王子って言います。
あ、名前はルイジ吉田っていって、王子はあだ名というか、そういう感じです。
みんなは、ジーノとか王子とか呼びます。
俺は照れちゃうので、王子って呼んでます。
本当に、王子みたいに素敵な人です。
人、じゃなかった。
王子は、人間じゃないらしいです。
今いる王子は呪いみたいなもので歳を取らないらしいんです。その代わりに絵に描かれた王子がどんどん歳をとっていくみたいで。何だか有名な小説にもなっているみたいです。
でも、絵を描かれる前は、ちゃんと歳をとっていく人間だったから、今も歳をとらないだけで、人間てことなのかな？
良く分からないんだけど、そういうことみたいです。
人間でも、人間じゃなくても、俺にとっては大切な、こ、……恋人、なのです。
それと、王子が人間だけど人間じゃない、元人間てことは、秘密なんです。
王子は「ばれないから大丈夫だよ」っていうけど、秘密って言われると、どきどきしちゃいます。それに、二人だけの秘密って少し嬉しいような、そんな気持ちです。
こ、これも内緒です。
でも、去年は王子は本当は吸血鬼だとかいう話を聞いた気もするんだけど。
きっと吸血鬼で絵が歳をとっているってことで、……あれ？　ってことは、王子は人間じゃない？
あれ？


あ、王子。
ど、どうしたんですか？　その格好は？！
いえ、すごっく似合ってます。すごく素敵です。
え？　王子は実はイン……？
インキュバスって何ですか？　む……ま？　夢の悪魔？？
あ、あれ？
王子は吸血鬼で、絵が歳を取って、夢の悪魔って……？
え？
あ、ちょっ、お、王子……。

んっ。



――きゅ、急にキスとかしないでください。
あ、いえ、嫌なわけじゃなくて、驚いちゃって……。
え？　インプだから？
夢の悪魔ってキスが得意なんですか？
帰ってきてから説明って、これからどこか行くんですか？
俺もこれに着替えるって、今からですか？
これって、狼男……みたいな……。
早くして、って。
はい、急いで着替えます。


す、すみません。
これから俺も一緒に出かけるみたいです。
俺の恋人は、何だかとってもスゴイ人、あれ？　人じゃないのかな？、ってことです。

あ、はい。
急ぎます。


俺の話を聞いてくれてありがとうございます。
また、機会があったら。


あ、すぐ行きます。

それじゃぁ！　行ってきます。